雇用形態別に紹介!正社員・契約社員・アルバイトなどのメリット・デメリット

日本で働き口を探す時に、給料や職種だけを見て就職先を選んでいないだろうか?日本には正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど、様々な雇用形態がある。実は雇用形態によって、給料の差だけでなく、社会保険、福利厚生、税金も違ってくるのだ。この記事でそれぞれの雇用形態の違いを知って、後悔しない仕事選びをしよう。

雇用形態とは?

正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト…。これらの言葉を知っていても、違いをきちんと説明できる人は少ないのでは?これらの違いは、企業と従業員とが結ぶ雇用契約の違い。つまり雇用形態の違いだ。
本記事では、日本で仕事を探す際によく見かける7つの雇用形態について、メリット・デメリット、採用フロー、給料の差、社会保険の加入条件を紹介する。

外国人にも加入義務がある!日本の社会保険

日本の社会保険の中には厚生年金保険・健康保険・労働保険(労災保険・雇用保険)があり、そのうち厚生年金と健康保険は同時に加入しなければならない。この2つは国籍に関係なく(「社会保障協定 ※1」を結んでいる国の方の場合は例外あり)、勤め先が「強制適用事業所 ※2」の場合は加入が必要となる。外国人であっても受給資格期間の要件を満たせば、日本人と同じく65歳から年金を受け取れる。
とはいえ、「将来は帰国予定なので、厚生年金を払いたくない…」という人もいるはず。その場合には、期限内であれば脱退一時金の請求ができる。詳しくは下記の関連記事を参考にしてほしい。

※1:日本と海外での保険料の二重負担を避けること、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくすることを目的に締結された制度。
※2:法律で厚生年金保険・健康保険への加入が定められている事業所。指定された事業で、かつ常時5人以上の従業員のいる事業所、または国・法人の事業所。

▼関連記事:「外国人でも納付義務がある!損をしないための税金・健康保険・年金の徹底ガイド」
https://www.tsunagulocal.com/zh-hant/21005/

雇用形態による待遇の不公平を解消! 2020年4月から「同一労働同一賃金」の導入開始

同一企業・団体における、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すため、同一労働同一賃金が導入された。これによって企業側が変えるのは以下の3点だ。

(1)不合理な待遇差解消のための規定を整備する
(2)労働者に対して、待遇に関する説明義務の強化
(3)行政による助言、指導や、裁判外紛争手続き(行政ADR)の整備

具体的にいえば、正社員と非正規雇用労働者が同じ仕事内容、同じ配置転換の範囲であれば、同じ賃金、同じ待遇になるということだ。これは働き方改革関連法案の成立によるものだが、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行される。

それでは、それぞれの雇用形態によって何が同じで、何が異なるのかを確認しよう。

正社員

労働契約に期間の定めがない、つまり長期雇用を前提とする雇用形態。1日8時間、1週間で40時間が法定労働時間だ。採用フローは会社によって異なるものの、基本的には履歴書や職務経歴書などを送り、1回、または複数回の面接をして採用となる。所得税・住民税・健康保険や年金などの社会保険料は、給料から天引きされる。

現状、正社員のメリットは、給料、福利厚生、有給休暇があること。ボーナス、退職金など手当てが出る会社も多く、年功序列制度が採用されていることが多い日本企業では勤続年数が長いほど給料が高くなる傾向もあるので、他の雇用形態よりも高水準で安定した給料をもらうことができる。また、法律で規定されている法定福利厚生以外に、各企業が独自に設定している法定外複利厚生として、交通費、住宅手当(家賃補助)、家族手当、健康診断補助、資格試験の費用補助などを定めているところもあり、正社員はこれらを利用できる。会社に頼りにされ、やりがいのある仕事を任せられるという点も正社員になるメリットだ。
一方、そのような責任あるポジションだからこそ、会社や職種によっては残業があることも。たとえ残業代が出ても、所定の勤務時間以外働きたくない人にとってはデメリットとなるだろう。また、正社員の場合は転勤の可能性もありうる。

ただし、今回の同一労働同一賃金の導入によって、企業によっては正社員の福利厚生や役職手当が下げられる可能性もある。

契約社員(有期労働契約)

契約社員と正社員との大きな違いは、労働契約に期間の定めがあること。つまり、企業と労働者とで契約更新の合意がなければ、労働契約が終了するということだ。所定勤務時間、勤務日などは正社員と同様の場合が多く、給料も正社員に近い。社会保険も正社員同様に加入する。所得税・住民税も、給料から天引きされる。

契約社員のメリットは、正社員とほぼ変わらない仕事内容・給料で、正社員ほどの責任を負わないという点。具体的にいうと、正社員と比べて残業がない、または少ない。そして勤務地が限定されていて転勤がないことがほとんどだ。契約社員に副業を禁じる企業は少ないので、時間の融通がききやすい契約社員で働きながら別の仕事ができることもメリットと言える。さらに、会社によっては契約社員から正社員に登用される制度もある。どうしても正社員として働きたい特定の企業がある場合、契約社員としてまずは働いてみるのも一つのルートといえるだろう。
デメリットとしては、やはり労働契約で定められた期間が満了すれば契約を更新できないこともあるため、「正社員」の方が雇用も安定しており、キャリアを積みやすいという点だ。ちなみに契約期間中なら、やむを得ない事情以外で会社から一方的に契約を打ち切られることはない。

今までは契約社員にボーナスを支給する企業は少なく、支給されても正社員より少ない額だった。しかし今回の同一労働同一賃金の導入によって、正社員と同様の業務を行っているならは格差が是正されるだろう。また、退職金についても、長期間勤続した契約社員に対しては正社員より少額ながら支給されるようになる。

派遣労働者(派遣社員)

今回紹介する雇用形態の中で唯一の間接雇用が派遣労働者(派遣社員)。正社員や契約社員、パートタイム労働者などが雇用主と直接雇用契約を結ぶのに対して、派遣労働者は派遣会社と雇用契約を結び、自分のスキルや勤務形態などに応じて、勤務地へ派遣される。給料や勤務・労働条件は派遣会社や派遣先によって変わるので、同じ会社で同じ業務をしていても派遣元よって違う条件で働くこともある。また、社会保険に関しては、派遣会社で加入する。

派遣社員のメリットは、同じく時給制で働くパートタイマ―やアルバイトよりも時給が高いこと。また、スキルがあれば、正社員では入社しにくい大手外資系企業で働くこともできる。デメリットは、3カ月ごとに更新があることと、同じ事業所に3年以上いられないというルールがあること。これは派遣法で定められていて、正規雇用を増やす目的で作られたルールだが、同じ職場で働き続けたい人にとってはデメリットになる。

なお、派遣労働者は、特に同一労働同一賃金の導入による変化に注意しなければならない。待遇差を無くすために待遇方式が2種類(派遣先均等・均衡方式、労使協定方式)あり、派遣会社によってどちらを採用しているかが異なるからだ。
派遣先均等・均衡方式の場合は、派遣先の正社員と同じ待遇を受けられる。派遣社員であっても正社員のような手当がもらえるが、その反面、派遣先によっては待遇の差が出る。労使協定方式の場合は、厚生労働省が毎年通達する同じ職種、同じ勤務地の労働者の平均賃金と同等以上になるよう待遇が決められる。どの派遣先に行っても待遇は変わらないが、その分派遣先の社員とは待遇差が出ることもある。大手派遣会社は労使協定方式を採用することが多く、この待遇方式は派遣会社が決めることで派遣社員自身が選べない点も覚えておこう。

また、同一労働同一賃金が導入されてからは、今まで派遣社員には支給されないことが多かった交通費が出るようになったことも、派遣労働者にとって大きな変化だ。

パートタイム労働者(パートタイマー、アルバイト)

パートとアルバイトは、法律上の違いはない。ただ、日本では、パート=主婦向け、アルバイト=学生、若者向けというイメージがあり、職種によって使い分けられている。仕事内容は上記3つの雇用形態より補助的。雇用期間は求人によって異なるので、「長期アルバイト募集」や「4カ月の短期アルバイト」など、自分の働きたい期間のものを選ぶことができるのがメリットだ。
一方、デメリットは、パートタイム労働者と社員では仕事内容が異なる職場も多いため、長期間働いてもスキルが身につきにくいこと。接客・販売系なら正社員へ登用されることもあるが、もしそれ以外の職種で今後正社員を目指すなら別の雇用形態を選ぼう。

アルバイト・パートであっても社会保険には加入するが、その条件は以下の通り。
・1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の「4分の3以上」の場合
・労働日数と労働時間が「4分の3未満」であっても、以下の(1)~(5)すべてに該当する場合
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上
(2)賃金月額が88,000円以上
(3)勤務期間が1年以上見込まれる
(4)学生でない
(5)被保険者数501人以上の企業の従業員

ちなみに、同一労働同一賃金の導入で変化する点は他の非正規雇用同様だが、もしフルタイム勤務・無期雇用の場合にはこの制度の対象から外れることにも注意しよう。

短時間正社員

短時間正社員とは、①期間の定めのない労働契約(無期限労働契約)を締結している、②基本給や退職金などの算定方法が、同種のフルタイム正社員と同等、の2つに該当している社員のこと。労働時間は6時間程度と短いので給料が下がるのはデメリットだが、福利厚生などは正社員と同等の保障があるので労働者側にはメリットも多い。しかし会社側から見ると保険料や福利厚生費用が増えてしまうといったデメリットが多く、この働き方が設けられている会社であっても育児支援目的といった期間限定であることがほとんどだ。もし今後正社員を目指している、または現在正社員である場合には、会社がこの制度を導入しているのか調べてみよう。

短時間正社員は、もともと正社員と同等程度の保証があることもあって、同一労働同一賃金による変化は少ない。ただし、もし短時間正社員で基本給が低いにもかかわらず通常の正社員と同じ業務量だとしたら、企業に待遇の説明を求めることができる。

業務委託(請負)契約労働者

リモートワークの導入が進む現在、外国人の業務委託契約労働者も増えている。ただし、もし複数の会社と業務委託を締結している場合、その中の報酬が一番高い会社が就労ビザの申請をしなくてはならない。
また、業務委託には委任契約と請負契約、2つの契約形態があることにも注意。委任契約では業務の成果物ではなく、業務自体が対価になる。それに対して請負契約では、一定の納品物や成果物が求められる。例えば通常の事務業務や受付なら任意契約、WebデザイナーがWebページを作成するなら請負契約となる。
メリットは、自分の専門性を活かした仕事ができることや、業務内容によっては勤務地に縛られないで仕事ができるところ。デメリットは、会社に雇用されていないので、税金を自分で申告する確定申告を行わなければならないところだ。もし得る給料の額が大きいなら税理士に相談してもいいが、安く抑えるなら確定申告のときだけクラウドソフトを使うといい。確定申告用のクラウドソフトはいくつかあるので、自分で比較してみよう。

業務委託(請負)契約労働者は雇用されていないので、同一労働同一賃金による雇用条件の変更といった直接の影響は受けない。ただし、企業側は派遣社員の賃金の増加が負担になるので、今まで派遣社員が行っていた仕事を業務委託(請負)契約労働者に発注するケースが増えている。

在宅ワーカー(自営型テレワーカー)

前の見出しの業務委託(請負)契約労働者とも重なるが、その中でもパソコンなどの情報通信機器を使って個人で仕事をする場合に在宅ワーカーと呼ぶ。エンジニアやデザイナー、翻訳など自分の得意な分野の業務を、請負契約で受託する。勤務場所の指定はなく、自宅はもちろん、カフェやコワーキングスペースを使ってもいい。
一時帰国する場合でもパソコンさえあれば仕事を続けられるのは、外国人労働者にとって魅力がある。
ただし、自由さがメリットの在宅ワーカーだが、契約内容の確認はしっかり行った方がいい。契約内容の確認はどの雇用形態にも言えることだが、在宅ワーカーの場合、一回の仕事ごとに会社と契約を結ぶことが多いので、納品後に値下げされた、納品後に連絡が取れなくなった、などのトラブルに見舞われるケースも。働いた分の給料が支払われるか不安な場合は、フリーランス向けのマッチングサイトを活用するという方法もある。
同一労働同一賃金の導入による変化は業務委託(請負)契約労働者と同じだ。

就職の際に気をつけるべきこと

就労ビザ(就労可能な在留資格)を取得して日本で働こうと考えている場合、申請できる要件を満たした雇用形態なのかを考えて就職しよう。就労ビザの申請には、雇用する会社の安定性・継続性・収益性が認められなければならない。契約期間が1年以下の雇用形態であると、就労ビザが下りない可能性も高いのだ。その場合には、契約期間1年以上の契約社員など、契約期間の長い雇用形態を選ぶようにしよう。また、やりたい仕事の業務内容に合った学歴がある、その仕事の実務経験がある、といった人には就労ビザが下りやすいことも覚えておこう。
そして、契約のときには、雇用主と雇用形態、賃金、業務内容といった労働条件についてよく話し合い、口頭だけでなく書面で雇用契約を結ぼう。

また、労働基準法や健康保険法などで、労働条件面での国籍による差別は禁止されている。厚生労働省からも「外国人労働者から求めがあった場合、通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由等について説明すること。」という指針が出ているので、自分の待遇に疑問があれば会社に聞いてみてほしい。

雇用形態の変更方法と注意点

アルバイトから正社員へ、契約社員から在宅ワーカーへ、といったように雇用形態が変わった場合、外国人労働者は何に気をつければいいのか。
まず、雇用形態が変わった場合は、同じ会社であっても労働契約を結び直す必要がある。後からトラブルになることもあるので、慣れた職場であっても必ず書面で契約するべきだ。

雇用形態が変わることで社会保険料が変わることもある。例えば契約社員から在宅ワーカーになった場合、会社を退職した翌日から健康保険が使えなくなる。前職の会社が社会保険の資格喪失手続きをするので、会社からもらう被保険者資格喪失届の提出と保険証の返還を忘れずに。退職の翌日からは国民保険の保険料がかかるので、自治体の窓口で国民保険加入の手続きをしよう。

▼関連記事:「外国人でも納付義務がある!損をしないための税金・健康保険・年金の徹底ガイド」
https://www.tsunagulocal.com/zh-hant/21005/

雇用形態の違いは理解いただけただろうか?仕事を探す際には給料や業務内容に目が行きがちだが、自分のキャリア形成のためにもぜひ雇用形態を確認してほしい。それぞれの雇用形態のメリットとデメリットを把握して職場を選べば、日本で快適に働けるはずだ。

 

※本記事の情報は、公開時点のものです。