日本の職場で起こりうるハラスメントとは?種類や対処法を紹介

近年、日本の職場で問題となっている「ハラスメント」。嫌がらせをすることで、相手を不快にさせたり、傷つけたりする行為だ。今回は、日本の職場で起こりうるハラスメントの種類と、ハラスメントを受けた際の対処法を紹介する。

日本の職場でよくあるハラスメントにはどんなものがある?

ハラスメントとは、他者に対する言動や行動が、本人の意図とは関係なく、他者を不快な思いにさせたり、不利益や脅威を与えたり、尊厳を傷つけたりすることを指す。ハラスメントは、職場や学校、家庭などあらゆる場面で起こる。本人はそのつもりはなくても、相手が不快に感じてしまえばそれはハラスメントなのだ。知らぬ間に自分自身が加害者になってしまうこともあるため、しっかりとハラスメントについての知識を身に着けておく必要があるだろう。ハラスメントにはさまざまな種類があるが、ここでは、職場でよく起こる4つのハラスメントについて簡単に紹介しよう。

パワーハラスメント

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地位や役職など優位な立場に立つ者が、その立場を利用して下の者に対して嫌がらせを行い、精神的・肉体的苦痛を与える行為のこと。日本の職場において最も行われているハラスメントの一つである。例として、大声で怒鳴る、物を投げる、遂行不可能な仕事量を与える、能力や業績を過少評価するなどの行為が挙げられる。

セクシュアルハラスメント

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性的な嫌がらせを行うこと。言葉で相手に対して性的な発言をするほか、身体的な特徴に関して差別的な言動をすることもセクハラに該当する。男性から女性に行われるハラスメントのイメージがあるが、女性から男性、同性にも行われるハラスメントである。

マタニティハラスメント

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妊娠・出産をした人に対して精神的・肉体的苦痛を与える行為のこと。妊娠・出産により育児休暇などを取得する労働者に対して「忙しい時期に休むな」「迷惑をかけるな」などの発言したり、降格させたりして労働者を苦しめる。

モラルハラスメント

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悪口を言ったり無視したりする行為のこと。パワハラと似ているが、モラハラは地位に関係なく行われる。また暴力行為は行われない。自分だけ飲み会に誘われない・長時間にわたり叱責されるなど陰湿ないじめが行われる。集団で行われることもありその苦痛は大きい。

年々増加する日本のハラスメントの実態とは?

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近年では、都道府県労働局などに設置された相談コーナーに寄せられる「嫌がらせ・いじめ」に関する相談が増加傾向にある。2007年には約28,300件であった相談件数が、2019年には約87,500件にまで増え、多くの職場でハラスメントが起こっていることが分かる。職場でのハラスメントにより、精神障害を発症し、労災補償を受けるケースにまで至ってしまうこともあり、今後の大きな課題として残っている。

これらの現状を受け日本では、2020年6月1日に大企業に対してパワハラ防止を義務付ける「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が施行された。2022年4月1日から中小企業にも義務づけられる方針である。この法律の主なポイントは以下である。

1) 事業主に対して、相談室を設けるなどパワハラに対する体制整備を義務付ける。
2) パワハラが常態化し、勧告を行っても改善が見られない場合は、企業名を公開する。
3) パワハラを告発した者に対して、解雇や不利益な取り扱いをしてはならない。
4) セクハラ、マタハラをしてはいけないことも明記されている。

どんなものがハラスメントになるの!?

この章では、どんなものがハラスメントに値するのかさらに詳しく説明しよう。

パワーハラスメント

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1) 身体的な攻撃…上司が部下に対して、殴る・蹴るなどの暴行を加える行為。
2) 精神的な攻撃…上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする行為。
3) 人間関係から切り離す…仕事から外し、自宅研修や別室に隔離する行為。
4) 過大な要求…労働者の能力を超えた過剰な業務を押し付ける行為。
5) 過少な要求…退職させるために、誰にでもできる業務ばかりを押し付ける行為。
6) 個人の侵害…個人のプライベートに対して執拗に干渉する行為。

セクシュアルハラスメント

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1) 対価型セクハラ…「付き合えばいい評価をする」「性的欲求を受け入れればいい評価をする」などと要求すること。

2) 環境型セクハラ…性的な言動を行うことで労働者を不快にさせる行為のこと。度々体に触れたり、労働者の性的な情報を流したりするなどの行為が挙げられる。

マタニティハラスメント

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1) 制度利用に対する嫌がらせ…会社には、妊娠・出産に際し、育児休暇制度や時短勤務制度など、さまざまな制度がそろっている。それらを使用することに対して、「育休を取得するなら辞めてもらう」「定時で帰るなんて迷惑だ」などと発言する行為。

2) 体調不良に対する嫌がらせ…妊娠・出産により相次ぐ体調不良に対して暴言を吐く行為。早退や欠勤をすることで、「休むなら会社をやめろ」「あなたのせいで私たちの仕事が増えた」など発言する行為。出産後、子どもが発熱して欠勤や早退を申し出る際に嫌味を言われるといった行為も、マタニティハラスメントに該当する。

モラルハラスメント

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モラハラとは、倫理や道徳に反した陰湿な嫌がらせのこと。無視をする、仲間はずれにする、陰口を言う、誹謗中傷する、バカにしたような視線を送る、仕事に必要な情報をわざと与えない、プライベートに介入してくるなど、モラハラとされる嫌がらせは多岐に渡る。

ハラスメントを受けた時はどうすればいいの?

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ハラスメントを受けた時は、一人で悩まず相談しよう。まずは、どんなハラスメントを受けたのか、受けた日時、だれか目撃者はいたかなど、パワハラが行われた状況を思い出して、メモに書きだそう。そうすることで、相談する時も冷静にしっかりと伝えることができるはずだ。ハラスメントの解決方法としてはぜひ以下を参考にしてほしい。

1) 同僚や上司に相談する

まずは身近にいる職場の人たちに相談をしてみよう。周りの協力を借りることで早期に解決できることもある。

2) 会社の相談窓口に相談する

周りの社員に相談することが難しい場合は、会社に設置された「ハラスメント相談窓口」に相談をしよう。現在法律では、必ず会社に相談窓口を設置することが求められている。

3) 外部の相談窓口に相談する

社内の人に相談が難しい場合は、全国の労働局・労働基準監督署にある相談窓口に相談しよう。無料で相談をすることができるので安心だ。

外国語対応可能な相談窓口について紹介

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日本語に自信がない場合は、外国語対応可能な「労働局外国人労働者相談コーナー」へ相談をしてみよう。電話対応も行っているので出向くのが難しい場合も安心だ。窓口対応については都道府県によって対応言語が異なるため、詳しくは厚生労働省の公式ホームページを参考にしてほしい。

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/foreigner.html

以上、日本の職場で起こりうるハラスメントについて説明した。働く上で、いつ自分の身に起こるか、また誰かが被害に遭うかは分からない。しっかりとハラスメントとはどういうものなのかを理解し、適切な行動をとり、早期解決に臨むことを心がけてほしい。

 

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